消費者問題

借金を代わりに支払っても大丈夫ですか!?

1 弁済の定義

  借金を返済することを,法律上「弁済」と呼びます。

 正確には,債務者が債務の本旨に従った給付をする「履行」とほぼ同じ意味ですが,債務の消滅の側面からみた場合には「弁済」と表現します。

 債務者が債権者に対し,債務の弁済をした場合,その債権は消滅します(民法473条)。

2 第三者による弁済

  債務の弁済は,第三者もすることができます(民法474条1項)。

 たとえば,夫の借金を妻その他の親族が肩代わりして支払うこともできます。

 もちろん,債務者(夫)側から第三者による弁済ができる趣旨にとどまり,債権者(金融機関)側から第三者による弁済を強制することはできません。つまり,金融機関が夫に代わって妻が代わりに支払えと請求することはできません。

3 第三者による弁済の制限

ア 第三者による弁済は,原則として有効ですが(民法474条1項),これを無条件で認めると,債権者又は債務者に不利益が発生するおそれがあるため,一定の制限が掛かっています。以下,順番に確認していきます。

イ まず,①弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は,債務者の意思に反して弁済することができません(民法474条2項本文)。第三者弁済によって債務が消滅するため,通常は債務者にとって利益になりますが,債務者自身が他人の恩義を望まない場合にまで,これを強制することはできないからです。

 債務者の意思に反する弁済は無効です。もっとも,債権者が,債務者の意思に反する弁済であること知らなかった場合には,債権者を保護する必要があるため,有効な弁済となります。

ウ  次に,②弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は,債権者の意思に反して弁済することができません(民法474条3項本文)。

 債権者の意思に反する弁済は無効です。ただし,第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において,これを債権者が知っていたときは,弁済は有効となります。この場合には,第三者と債務者を法的に同一視することができるからです。

エ 反対に,③「正当な利益を有する第三者」は,債務者・債権者の意思に反しても弁済をすることができます(民法474条2項の反対解釈)。たとえば,保証人や物上保証人などは,債務の弁済について法律上の利害関係があるため,債務者・債権者の意思に反してでも弁済を認める必要があるからです。

 しかし,債務の性質が第三者の弁済を許さないときや(債務の内容が一身専属的なもの),当事者が第三者の弁済を禁止・制限する意思表示(第三者弁済禁止の契約を締結する等)には,正当な利益を有する第三者といえど,弁済することはできません(民法474条4項)。

4 まとめ

 第三者による弁済の制限をまとめると,以下のとおりとなります。

 弁済についても専門的な知識が求められることがありますので,お困りの方,お悩みの方は,ぜひ専門家にご相談ください。

【第三者による弁済について】

原則:第三者による弁済は有効(474Ⅰ)

 例外:⑴ 正当な利益を有しない第三者による弁済

  • 債務者の意思に反するときは無効(474Ⅱ)

ただし,債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは有効

  • 債権者の意思に反するときは無効(474Ⅲ)

ただし,第三者が債務者の委託を受けて弁済する場合において,これを債権者が知っているときは有効

    ⑵ 正当な利益を有する第三者による弁済(保証人など)

      ⇒上記①・②にかかわらず,債務者・債権者の意思に反してでも弁済できる。

       ただし,以下の2つの場合には弁済できない(474Ⅳ)。

ア 債務の性質が第三者の弁済を許さないとき

イ 当事者が第三者の弁済を禁止・制限する意思表示をしたとき