消費者問題

投資マンションの強引な勧誘

この記事を書いたのは:戸田 裕三

 従前から投資マンションの勧誘は多く行われていましたが、近年、20歳台の方に対する投資マンションの強引な勧誘が頻発しています。2018年には全国で405件の相談があり、平均購入価格は2000万円を超えています。

 強引に勧誘されたり、購入後に聞いていた利益状況が事実と異なっていたりするなど問題のある事例が多いようです。投資マンションは、建物や設備の老朽化による価格の下落リスクがありますし、空室や家賃滞納等により予定していた家賃収入が入らずローンが払えなくなるリスクも存在します。

 またサブリース契約で「空室保証」や「家賃保証」と説明されていても家賃が下げられたり、サブリース契約が解除されるリスクもあります。したがって投資用マンションで当然に利益を得れるという保証はありませんが、このような説明がなされないままに若年者に強引に契約をさせるケースが存在します。

投資用マンションをしつこく勧誘され、営業マンが怖くなって契約をしてしまうケース

 営業マンに呼び出されて話を聞かされた後に、契約を断ると「遠くからわざわざ説明に来ているのにきちんと話を聞いているのか」などと怒鳴られ断れずに契約してしまうこともあります。

街頭アンケートに記入した後に事務所に連れていかれて契約させられるケース

 街頭でアンケートへの回答を求められ、アンケートに答えたところ事務所まで連れていかれ、その後に、実際にマンションに何か所も連れていかれて帰りたいと言っても返してもらえず深夜まで拘束されて契約してしまうこともあります。

家賃保証があると言われて購入したが毎年赤字が続いてローンが払えないケース

 家賃保証があるので赤字になることは無いと説得されて投資用マンションを購入したところ、高額の固定資産税が発生することが判り、家賃だけでは赤字になるほか、共有部分の修繕費の積み立てがなされておらず、数年中に高額の修理費が発生することが判明したが、手持ちの資金では賄えないケース

投資用マンションを転貸する条件で購入したが転貸人が支払わないケース

 投資用マンションの業者からマンションを購入する(ローン返済)と同時にマンションを業者に転貸し、ローンは業者が払うという条件でローンを組んでマンションを購入して業者に転貸したが、業者が半年しかローンを払わず、残りのローンを全部払わなければならなくなったケース

 以上のように問題のある投資用マンションの販売行為が社会経験のない20歳代の若者をターゲットにして行われている実情があります。安易に業者の説明を信じることなく信頼できる第三者のアドバイスを求めて欲しいと思いますし、仮に契約してしまっても消費者契約法違反や説明義務違反を主張して契約を破棄したり、損害賠償請求を行える可能性もあります。

 是非専門家の相談を受けるようにしてください。


この記事を書いたのは:
戸田 裕三