マンションの区分所有者の責任
この記事を書いたのは:戸田 裕三
マンションの区分所有者が物件を第三者に賃貸に出すこともあると思いますが、借主が近隣に対して迷惑行為を行っている時に、区分所有者の責任はどうなるのでしょうか。
参考になるので東京地裁平成17年12月4日判決です。
この事案は、賃借人が騒音を繰り返し、近隣の方から苦情を受けたにもかかわらず区分所有者が放置していたため、被害者が賃借人と区分所有者を訴えました。
裁判所は、区分所有者が何の対策も取らずに放置したことは不法行為に該当するとして賃借人だけでなく区分所有者に対しても賠償義務を認定しました。
このように区分所有者は、他の区分所有者に対しても義務を負っているため賃借人に対して指導監督する義務があり、場合によっては賃貸借契約を解除して賃借人を追い出すという措置をとらなければ賃借人と連帯責任を負うことになります。
それでは近隣の区分所有者は、賃借人を追い出すことはできないのでしょうか?
参考になるので東京地裁平成17年9月13日判決です。
この事案は、マンションに居住していた区分所有者の親族が騒音等の迷惑行為を繰り返し、近隣の方から苦情を受けたにもかかわらず区分所有者が放置していたため、管理組合が区分所有権の競売を求めて区分所有者を訴えました。
裁判所は、区分所有者が何の対策も取らずに放置したことは不法行為に該当するし、仮に居住者を一旦は法的に退去させても再度、同じ居住者を区分所有者が入居させる可能性があるとして区分所有権に対する競売申し立てをも認めました。
特殊なケースと思われますが区分所有者としては他の区分所有者に対して誠実な対応を取らなければならないということでしょう。
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この記事を書いたのは:
戸田 裕三