相続・遺言

分譲マンションに関する相続はどうなる!?

この記事を書いたのは:清水 洋一

1 マンションに関する権利の承継

 分譲マンションを購入した方は,①各自の専有部分(201号,301号といった個別の部屋)に対する所有権(以下「区分所有権」という。)と,②専有部分を所有するための敷地利用権(所有権,地上権,賃借権など)を取得します。

 もちろん,マンションの共用部分・敷地・付属施設の一部に対する専用使用権を取得する場合もありますが,ここでは割愛します。

 分譲マンションを取得した区分所有者が死亡した場合,通常,相続人や特別縁故者が上記①及び②の権利を承継しますが,相続人が存在しないときは(相続人が全員相続放棄した場合を含む。以下同じ。),以下の取り扱いとなります。

2 マンションに関する権利の帰属先

ア 所有者のない不動産は,国庫に帰属します(民法239条2項)。

このため,分譲マンションの所有者が死亡した場合において,相続人が存在しないときは,単独所有の不動産である①専有部分(個別の部屋)は国庫に帰属します。

イ では,他の区分所有者と共有関係にある②敷地利用権は,どのような取り扱いになるのでしょうか。

 民法では,「共有者の一人が,その持分を放棄したとき,又は死亡して相続人がないときは,その持分は,他の共有者に帰属する。」と規定されているため(民法255条),これによれば,敷地利用権が区分所有者全員による共有の場合,敷地の持分権は,他の区分所有者に帰属することになります。

 しかし,これを認めると,専有部分は国,敷地利用権は他の区分所有者のように,専有部分と敷地利用権の分離処分を認めることになるため(区分所有法22条本文),区分所有法は,民法255条を適用除外としています(区分所有法24条)。

ウ この結果,専有部分と同様,共有関係にある敷地利用権も国庫に帰属することになり,分離処分が回避されます。

3 まとめ

 マンションのような分譲住宅は,戸建て住宅と取り扱いが異なる場合も多く,専門的な知識が求められます。分譲住宅の相続関係で,お困りの方,お悩みの方は,ぜひ専門家にご相談ください。


この記事を書いたのは:
清水 洋一