相続登記の法改正3
この記事を書いたのは:戸田 裕三
前回に引き続き登記関係の改正についてご悦明させていただきます。
1形骸化した登記の抹消手続き簡略化
(1) 買戻し特約の特約が記載された登記は、売買契約の日から10年が経過した時は、買主の申請で売主の同意なく買戻し特約に関する登記を抹消することができます。
売主の死亡や行方不明等で残ってしまっていた買戻し特約に関する登記を令和5年4月1日より買主の申請だけで抹消することができるようになります。
(2) 登記された期間が既に満了している地上権等の権利に関する登記は、公的な書類で地上権者等の所在を調査の上で(現地調査は不要)、所在が判明しない時は、裁判所による除権決定を得て土地所有者が単独で地上権等の権利に関する登記を令和5年4月1日より抹消することができるようになります。
(3) 解散した法人の担保権(先取特権等)は、
①法人の解散から30年が経過し、清算人の所在も不明である場合に、
②被担保債権の弁済期から30年経過した時は、土地所有者が担保権者の同意無くして担保権を抹消することができます。
この制度も令和5年4月1日より実施されます。なお現在でも担保権者の行方が不明で被担保債権の弁済期から20年経過した場合は、元金及び利息を法務局に供託すれば土地所有者が担保権を単独で抹消できる制度があります。
2個人情報の保護
改正法が施行されると、土地所有者等は登記簿に現在の住所が表示されますが、DV被害者・ストーカー被害者等に関しては、現住所の公開により被害が発生する可能性がありますので、法務局に申し出ることによって依頼した弁護士の住所などを表記する方法が認められるようになります。
この制度は令和6年4月1日より実施されます。
また現在の登記簿の附属書類に関して利害関係があればだれでも閲覧できる制度を、正当な理由がある場合のみに閲覧を制限する制度に改められます。
この制度は令和5年4月1日より実施されます。
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戸田 裕三