相続・遺言

相続登記に関する法改正

この記事を書いたのは:戸田 裕三

 2024年(令和6年)4月から相続登記に関して新しい制度が始まります。

 これを知らない方がまだ国民の6割ほどおられます。

 現在は、相続が発生しても固定資産税の課税や土地の管理の煩わしさから相続登記をせずに死亡された方の名前のままに登記がなっているケースが多々あります。居住している方が相続登記をされていないケースの他に居住者がいないまま建物が老朽化しているケースもあります。

 どちらの場合も、2024年4月からは、相続人の方は相続開始を知ってから3年以内に登記申請が必要となってきます。

 3年以内に遺産分割が成立すれば遺産分割で土地建物を取得した方が相続登記をすることになります。

 3年以内に遺産相続が決まれない場合には2つの方法が考えられます。

方法としては

①相続人全員の住所氏名を表示する相続登記のほかに、

②簡易な方法として相続人申告登記という制度も新たに創設されました。

 この方法は申請した人の住所氏名のみを表示しますので他の相続人の戸籍謄本等の提出が不要となります。②の場合は持分割合の記載はされません。

 どちらの場合も遺産相続が成立した段階で3年以内に土地建物を取得することになった者が移転登記を行うことが必要となります。

 なお遺言書があった場合には、遺言書で土地建物を取得された方に登記義務が発生します(令和5年4月1日より取得者の方が単独で登記申請できるようになります)。

 以上の登記義務を3年以内に履行しない場合には、正当な理由がある場合以外は、10万円以下の過料の制裁を受ける可能性があります。

 また法律の施行は2024年(令和6年)4月1日ですが、それ以前に相続が発生している土地建物に関しても制度の対象となります。この場合の3年の起算点は、2024年(令和6年)4月1日です。

 被相続人が相続人の知らない土地を所有している可能性もありますので被相続人名義の土地の一覧表(全国)を法務局に申請できる制度(所有不動産記録証明制度)も創設されました。

 2026年(令和8年)4月までに施行されることとなっています。


この記事を書いたのは:
戸田 裕三